函南町の男性が現在、キャンプ施設「negura campground(ネグラ キャンプグラウンド)」(函南町丹那)の開設に単独で取り組んでいる。
開設に取り組んでいるのは、同町在住の渡部竜矢さん。丹那にある平野およそ2.1ヘクタールを活用してキャンプ場を作ろうというもので、準備資金を調達しようとクラウドファンディングにも挑戦している。初日の8月18日は、開始から3時間で目標額の140万円の調達に成功した。
渡部さんは北海道出身で、大学卒業後は、東京のIT企業で企画や仕様書の立案、プロジェクトの管理などを行っていた。
転機となったのは2016(平成28)年。それまで西新宿に住んでいた渡部さんは、同町ダイヤランドに中古の一戸建てを購入し、移住。新幹線で会社に通いながらも週末はキャンプや釣りを楽しむ日々を過ごすようになった。
移住先のイベントを通して、家具職人や園芸家など地元に住む仲間を増やす中で渡部さんは「函南の友人は、好きなものに囲まれた生活を送りとても豊かな生活に見えた。自身は東京で体や心をすり減らしながら働いているだけにあこがれた」と振り返る。
渡部さんは、毎週末のように行く釣りやキャンプの合間に、自身が運営する理想のキャンプ場探しをしたという。条件は富士山が見えて、水道・電気が容易に引け、車での出入りができる場所。理想の土地を探しても使用用途が田畑のみに限られるなど難航したが、近年になって町内に理想の用地を発見し、キャンプ場の設営に取り組んだ。
渡部さんは本格的にキャンプ場を設営をしようと13年勤めてきたIT企業を辞め、現在は荒れ地となっている用地の草刈りに1人で励むなど準備を行っている。前職での知識が生かされているか尋ねると「各種の進捗状況の確認やタスクの洗い出しなど役に立つこともある」と笑う。
渡部さんはキャンプ場の設営をリアルタイムでツイッターに状況を共有しながら行っていて、現在のフォロワーはおよそ6000人。渡部さんは日々起こる出来事などを詳細にツイートしている。
キャンプ場の完成にはおよそ1000万円が必要で、渡部さんはクラウドファンディングに挑戦。当初の目標額は140万円で、費用は水道工事に充てる予定で募集をスタートした。
18日17時に開始したクラウドファンディングは3時間後の20時には目標額を達成。24時間後には2倍の280万を達成、24日17時現在、550人の支援者からの総額は424万円を超えてネクストゴールの540万円を目指す。
3時間で目標金額に達成した理由について、渡部さんは「ツイッターでありのままを伝え、自身の頑張りを見て共感を得て『やっていることが面白いから協力しよう』と思ってくれたと思う。その積み重ねだったと思う」と振り返る。
渡部さんは「自然の中で過ごして人間本来の本能を刺激するキャンプの魅力を伝える施設を作っていきたい。今後はキャンプ場を一緒に開墾するイベントなども実施し、一緒にキャンプ場を成長させていきたい」と今後について話す。
クラウドファンディングは9月30日まで。