沼津駅南口近くにある衣料品店「サルトリア ルイ」(沼津市大手町)が3月10日、リブランディング企画「STORY Tailor Numazu(ストーリーテーラー沼津)」を始めた。
沼津市が主催する、地元商店と市民が新しい企画に取り組む「リブランディング塾」事業の一環。「サルトリア ルイ」のリブランディング企画には10人が参加。昨年10月から、10回の講義、企画・マーケティングのプロによる技術指導を経て、今年3月19日に沼津ラクーン(沼津市大手町)で発表会を行う。
サルトリアルイは、1972(昭和47) 年創業の衣料品店。現在の店主である勝又輝之さんの母が地元デパートに衣料品店を出店したのが始まり。顧客のニーズに合わせてオーダーメード婦人服を取り扱うオリジナルブランド展開を行っていた同店は、入居していたデパートの撤退に伴い、沼津駅南口近くに移転した。
輝之さんは服飾関係の学校を卒業後、同店に就職。紳士用オーダースーツの取り扱いも始め、現在に至る。輝之さんは「最近では小保方晴子さんが記者会見に着ていたスーツを作ってほしい、というオーダーを受けた。顧客の求める姿を会話で拾い上げて製作しているのは、母の代から変わっていない」と話す。
「リブランディング塾」メンバーたちは今回、ルイのヒアリング能力に注目。プロジェクトを「ストーリーテーラー沼津」と名付けた。同プロジェクトではポスターに掲示されるモデル10人に塾生がそれぞれのストーリーを聞き、勝又さんがストーリーに合わせた衣服を製作。製作した衣服を着用した姿をプロカメラマンが撮影し、ポスターを作成した。撮影には創業当時から現在も店舗で使用している椅子を使うなど、店の雰囲気を演出。現在、沼津駅南口の地下道に、プロジェクト概要と一緒にポスター12枚を掲出ている。
プロジェクトメンバーの良知雅和さんは「輝之さんの話を聞いて、既存の仕立屋さんの想像を超えるサービスについて驚いた。ストーリーで服を作る魔法のルイ体験を伝え、ルイの仕立てに共感してもらえるポスターを作りたいと考えた」と話す。
同メンバーの福原美奈さんは「一目ぼれした生地を見つけ、その生地で仕事にも使えるスカートというオーダーをしたところ、同じ生地でベルトやヘアバンドにも使えるひもを作ってもらえた。体型が変わっても直しが聞くので、とても気に入っている。大切に長く着たい」と笑顔を見せる。
輝之さんは「オーダースーツは長く使えその人の人柄を表す大事なアイテム。プロジェクトを通じて、自分の店がスーツだけでなく、ジャケットやズボン、エプロンなども作ることができ、その人のストーリーに合わせた服を作っていることを知ってもらえれば。今後もストーリーに合わせた服を仕立てていきたい」と意気込む。
ポスター掲出は3月31日まで。