沼津にある「The Old Bus（ジ・オールドバス）」（沼津市西浦久料）内にあるフリースぺース「アトリエウミノイエ」で現在、沼津出身の芸術家「ヤナギダマサミ」さんの個展が開催されている。

展示の風景

　1979（昭和54）年に浜松市の観光バスとして活躍し、観光バス引退後には横浜市内で「バスバー」として知られていたバスを引き取りオープンした「ジ・オールドバス」。バスを引き取った舛本佳奈子さん・弘毅さん夫妻が2018（平成29）年に西浦で営業を開始。その際あった、かつて海の家として使われていた建物を夫婦で改装したのが現在の「アトリエウミノイエ」で、現在はギャラリーやスタジオ、イベントスペースとして使われている。

　ヤナギダさんは「幼い時から絵画や造形物など自分を表現することを絶えず行っていた。芸術やアートという意識はなく、自分自身を『表現する人』と思っている。イラストを描くのは、まるで物を食べては排出するように、自分にとっては当然のこと」と話す。会場にはヤナギダさんの作品約200点を並べる。

　ヤナギダさんは専門学校を卒業後、アルバイトをしながら時間を見つけては毎日イラストを描いており、10年ほど前から注目を浴びるようになったという。ヤナギダさんはGUとディズニーのコラボＴシャツ企画にも参加するなど現在多方面で活躍を見せている。

　「現在、旅をしながら全国各地で展示会を行っている」とヤナギダさん。作品を詰め込んだトランクで旅をして、行き着いた地で仕事をしながら展示を続けているという。「みそ造り、稲作の手伝い、フナずし作りなどを体験しながらスーツケースを持って展示をしている。都会に比べて食べ物や暮らしが豊かなのが特徴で、東京では得られない体験をしている」と笑顔を見せる。

　会場では、ヤナギダさんが来場者に似顔絵をプレゼントする企画も行う。「その人と20分くらい話していると、それぞれの人生やストーリーが伝わってきて、イラストにする要素をもらうことが多い。似顔絵はその人のストーリーを聞いたお礼のようなもの」とほほ笑む。

　「オールドバスは最初に来た時に一目ぼれした。ここで流れる時間や舛本夫妻の人柄も含め、最高だと思っている。過去に何度もよそから人を連れて案内したほど」とも。「オールドバスの良さをもっと知ってもらえたら。今回の個展を通じて、オールドバスの雰囲気とセンスの良さを知ってもらいたい」と話す。

　開催時間は11時～19時。入場には要1ドリンク注文。3月27日まで。