長倉書店(伊豆市柏久保)が2月17日、書籍「梶井基次郎と湯ヶ島」増補改訂版を刊行した。
小説「檸檬(れもん)」の代表作で知られる梶井基次郎は、結核療養のため1926 (昭和元)年から1年4カ月「湯川屋」(伊豆市湯ヶ島)に滞在した。伊豆逗留中、同時期に湯ケ島に滞在していた川端康成の「伊豆の踊子」の校正を手伝ったほか、自身も「冬の蝿(はえ)」「闇の絵巻」「櫻の樹の下には」など6篇を執筆した。
書籍「梶井基次郎と湯ヶ島」の初版は1978(昭和53)年、元「湯川屋」館主の故安藤公夫さんが刊行した。同書はその後絶版で入手困難となり、2016(平成28)年に「長泉町井上靖文学館」(長泉町東野)が編集し再版した。
今回、安藤公夫さんの孫に当たる神田航平さん、「ものわすれの湯 船原館」館主の鈴木基文さんなどで構成する「伊豆文士村」が増補改訂を行い、梶井基次郎生誕日の2月17日に再版した。
最新版には「梶井基次郎文学碑」除幕式の際の資料を加えたほか、梶井と交流のあった人たちの寄稿文を収録した。
伊豆文士村メンバーの神田智子さんは「梶井基次郎は生前ほとんど評価されず31歳の若さでこの世を去った。伊豆湯ケ島に逗留し、短い人生のうちの貴重な時間を過ごし、生涯の三分の一に当たる作品を書いたことを地元の人たちに知ってほしい」と話す。
価格は1,760円。1000部発行。長倉書店はじめ、静岡県内の書店や、ECサイトで販売する。