シネプラザサントムーン(清水町)で12月12日から、映画「千年の一滴 だし しょうゆ」が公開される。
同作品は日仏合作で、日本人の味の基本であるだしをテーマにしたドキュメンタリー作品。2年の取材期間中、漁師・禅寺・料亭・科学者など、各ジャンルの人々をインタビューし、だしをめぐる人々の営みを追う。
作品はインタビューだけでなく、和食調味料の祖となるコウジカビにも注目。千年にわたって磨かれてきたコウジカビを扱う職人たちの知恵などにも迫る。
同作品の上映会を企画したのは、清水町内で定食店「桐家」を営む桐原直紀さん。桐原さんは、食の安全と安心をテーマにした同店を経営しながら、食の安全や安心に関わる勉強会やイベントなども開いている。
桐原さんは「以前はステーキ店の店長を務めていたが、家族に食べさせる食材や食品を考えたときに、長い将来安心して家族で食事をすることを考えたとき、食の勉強を真剣に行い、次の世代残す食文化を伝えたいと思った」と話す。目指すのは「家庭で家族全員が安心した食事をすること」で、目標については、「目指すのは家庭の食文化が盛り上がり自分の店がつぶれること」と笑う。
同作品との出会いについて、「今年の正月にこの作品を鑑賞し、食文化だけでなく、糀(こうじ)の魅力について感動した。清水町は糀店が近隣に3軒ある糀にゆかりのある町。その土地で多くの人に、この作品を通して和食の素晴らしさについて知ってもらいたいと思った」と話す。
今回の上映館は伊豆で最大級のシネマコンプレックス。同作品の地方上映は公共施設などが主だが、桐原さんは「清水町民が見る映画を招へいするのではなく、この映画館で上映することで清水町外の人にも知ってもらいたい。その活動が清水町の地域を強くしていく活動につながる」と話す。同館に何度も足を運び説得した結果、1日3回、7日間の上映を実現させた。
同館ロビーで12日15時から、同作品の柴田昌平監督が伊豆市内にある1日1組限定の料理店「羅漢」の加藤敦子さんによるトークショーも行う。同会場ではトークショーのほか、中村麹店(清水町)の自家製みそを使ったみそ汁の提供や、かつお節の削り体験なども行う。
桐原さんは「この映画やイベントを通して、誰かのために料理が作りたくなるようになってくれれば。おいしい料理を作るのは誰かのために丁寧に料理を作ること。この映画を見て、その丁寧さを思い出してほしい」と話す。
鑑賞料は大人1,800円。トークショー、イベントの参加は無料。