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下田の「大盛り」とんかつ店が50年 「下田の胃袋」夫婦で満たす

「旦那」と呼び掛けながらキャベツを提供する小川さん

「旦那」と呼び掛けながらキャベツを提供する小川さん

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 下田にあるとんかつ店「とんかつ一(はじめ)」(下田市一丁目)が9月で50周年を迎えた。

山盛りのライスにカレー、一番人気の「ミックス」を持つ小川夫妻

 1968(昭和43)年創業のとんかつ店。創業時はカウンター15席ほどの細い店だったが、1981(昭和56)年に現在の店舗に移転した。

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 店主の小川道明さん(76)は下田市の出身。学校卒業後に上京し、洋食店やレストランで修業を積んだ後、同店を開いた。「食事が大好きで、地元でおなかを満たす店を行いたかった」ときっかけを話す。

 メニューはとんかつのほか、唐揚げやカニクリームコロッケ、メンチカツなどのフライものが中心。一番人気は、ヒレカツ・唐揚げ・メンチ・カニクリームコロッケが入った「ミックス定食」(1350円)。どのメニューにもキャベツと付け合わせのナポリタンが付いていて、キャベツ・ナポリタン・ライスは食べ放題になっている。

 市内外で「大盛りの店」として知られる。小川さんは「お客さんが食事をしていると、ついつい満腹になってもらいたくてサービスしてしまう」と話す。客には常に気を配り、小川さん自ら「旦那、キャベツのお代わりが必要かい?」と聞きながら、キャベツやライス、ナポリタンを追加する。

 妻の節子さんは「主人がおせっかいなのか、常にお代わりのサービスは行っている。キャベツの値段が1玉600円になったときも変えていない。お客さんにがっかりさせたくないのは、2人とも一緒」とほほ笑む。

 50年続いてきた理由について、小川さんは「どんなに忙しくなっても手作りで、夫婦2人でやっているからこそ大盛りのサービスを続けていける。従業員を雇って規模を拡大すると、その分責任も増え、サービスができなくなる。満腹になって笑顔で帰ってもらうことを一番の喜びにして50年続けてきた」と話す。

 この日東京都から訪れた男性は「20年前の大学生の時に来て以来。味も変わらないし、旦那と呼ばれるのも昔のまま。うれしい気分になった」と感想を話す。

 小川さんは「小学生の子どもは『僕』と声を掛け、中学生くらいから上の男性は『旦那』と呼ぶ。中学生くらいになると食欲も一緒なので、大人扱いしている。女性は未婚・既婚を問わず『彼女』で統一している」と笑う。

 今後について、小川さんは「元気でいられるうちは、多くの来店客に笑顔で接客し続けていきたい。何年続くかを考えるよりも、毎日妻と2人で楽しくけんかせず店を続けていければ」と笑顔で話す。

 営業時間は11時~21時。月曜・火曜定休(水曜も休む場合あり)。