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伊東駅の弁当店が受験生に「電話通話」提供サービス

売店から携帯電話を差し出す、勤務歴60年の稲葉さん。

売店から携帯電話を差し出す、勤務歴60年の稲葉さん。

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 JR伊東駅構内にある弁当店「駅弁の祇園伊東駅店」が2月6日、店内にある公衆電話の撤去に伴い、受験生向け「電話通話」提供サービスを始めた。

 1946(昭和21)年、主にいなりずしを販売するすし店として創業した同店。伊東駅での駅弁販売は1959(昭和34)年から始めた。1962(昭和37)年には乗降ホーム内からそばなどが飲食できるスタンドを併設。「伊東のソウルフード」と呼ばれる少し甘めのだしが特徴のそばは、地元内外に多くのファンを持つ。

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 公衆電話の撤去理由は、今春に店内のスタンドが移築されることから。6日午前に撤去作業が行われ、57年間続いた公衆電話設置が終了した。

 同店創業から働いているスタッフの稲葉光雄さん(83)は「店の公衆電話を使って、地元の学生たちが親の迎えを呼んだり、忘れ物を届けに来てもらうお願いをしたりする場面が何度もあった」と思い出を振り返る。

 撤去前日の2月5日は県内私立高校の入学試験日で、同店では公衆電話を使い帰宅の連絡を入れる学生たちの行列ができた。

 同店では撤去後にも学生たちが混乱しないよう、店舗にある連絡用の携帯電話を受験生に無料で貸し出し、学校や送迎の両親に連絡する受験生を支援することにしたという。

 この日、同サービスを利用した受験生の一人は、帰宅の連絡を家に入れる際には公衆電話を使うよう学校から言われたというが、携帯電話を持っていないため通話する手段がなかったという。受験生は「とてもうれしいサービス」と笑顔を見せる。同店のツイッターには、実際にサービスを利用した人からお礼のリプライも寄せられた。

 守谷匡司社長は「60年間伊東を見続けてきた店として、とてもうれしい出来事だった。今後も伊東の受験生だけでなく、伊東に住む人たちを応援していきたい」と話す。

 携帯電話の貸し出しは入試期間が終わる3月中旬ごろまで続けるという。

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