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伊東「祇園」の幕の内弁当が50周年 「伊東の楽しさ」をラッピングデザインに

新パッケージの膜の駅弁当を持つ、祇園の守谷社長

新パッケージの膜の駅弁当を持つ、祇園の守谷社長

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 いなりずしと駅弁の販売を手掛ける「祇園」(伊東市広野、TEL 0557-37-3366)の「幕の内弁当」が7月21日、販売50周年を記念した新パッケージでの販売を始めた。

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 1946(昭和21)年に、現在の社長である守谷匡司さんの祖父・定一さんが創業した同店。定一さんは、戦前から浅草を中心に活動写真の弁士として活躍していたが、東京から離れ、伊東にいなりずし専門店を開店。当時は砂糖も白米も貴重品な時代で、同店の甘いいなりずしは地元で評判となった。

 それまでいなりずし専門店だった同店は、1966(昭和41)年に伊東駅構内で駅弁の製造販売を開始。そのときに誕生したのが、幕の内弁当で、現在もいなりずしと並ぶ看板商品として、伊東駅の定番となっている。

 守谷社長は「通常の幕の内弁当は、ごはんが俵形になっているのが主流だが、当社の幕の内は最初から現在のスタイルを貫いている。飽きのこない味を一貫して製造している」と話す。

 同商品の目玉であるからあげは50年前から変わらない人気メニューとなっている。ボリューム感のあるからあげから、地元住では別名「からあげ弁当」と呼ばれ、存在感をアピールしている。同社によると、目玉のからあげは国産鶏からブランド鶏使用にグレードアップするなど、見えない変更をしているという。

 守谷社長は「同社の幕の内弁当は製造コストが高いため、利益率は決してよくないが、見えない努力と変わらない満足を作ることが、まねしにくい商品を作る秘けつ。利益やコストを重視してしまえば、コンビニや大手に簡単にまねされる味になってしまう」と地域の味を守る姿勢を崩さない。

 同商品は販売にもこだわりがあり、全てが伊東の本店で製造されている。全国から駅弁フェアや実演販売の依頼は後を絶たないといい「この店の水と環境ができるから完成する味。よそで製造しても、祇園の味は出せない」と守谷社長は地元での製造にこだわりを見せる。

 伊東市内でしか味わえない祇園の幕の内弁当は、そのほとんどが地元住民らによって消費され、現在では伊東市民が自慢する「ソウルフード」へと成長している。

 50周年記念のラッピングデザインは地元イラストレーターが制作し、伊東の名所やイベントを全体的あしらったデザインを採用する。「このデザインを見て、また伊東に行ってみたいと思ってもらえれば。伊東の楽しさを描いてもらった」と守谷社長。

 「自身でも店頭に立ちながら、消費者が何を欲しているのか、何を受け入れられ必要とされているのかを見て、製造を続けている。今後も多くの人に愛される弁当を製造していきたい」とも。

 価格は780円。駅構内ほか、祇園各店舗でも取り扱っている。

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