沼津で撮影が行われた映画「そして、優子2」が第1回北海道国際映画祭の最優秀国際長編映画賞(金ふくろう賞)を受賞し、プロデューサーの沖正人さんと佐藤竜憲監督が11月29日、沼津市役所を訪問し、頼重秀一市長を表敬訪問した。
沼津市長と対談する沖プロデューサーと佐藤監督(関連写真3枚)
「子どもは親を選べない」という「親ガチャ」をテーマに、高校3年生の優子とヤクザの父親との絆を描く同作品。撮影は2022年4月~5月、沼津市中心市街地や淡島、重須、西浦、旧静浦小学校など、ほぼ全編を沼津市内で行った。作品名の「2」はシリーズの続編ではなく、主人公が成長し進化する意味を込めた。主人公の優子を瀬戸みちるさん、父親を柳憂怜さんが演じ、同市出身の大川航さん、藤木由貴さんも出演。同映画祭応募195作品のうち、長編コンペティション部門で8作品がノミネートされ、同作品が頂点に輝いた。
佐藤監督は「海外からエントリーされた作品の予告編はどれもクオリティーが高く、サハラ砂漠から始まる映画などもあり、スケールの違いを感じた。受賞は無理だと感じ、ここに来られただけでも良かったと思っていたので、受賞が分かった時はより一層うれしかった。撮影時に沼津の人たちの優しさに触れ、沼津愛がものすごく生まれた」と話した。
沖さんは「沼津で撮影しているけれど富士山をあえて映していないのは、日常のリアリティーを中心にしたかったから。偶然道を歩いている市民などにもエキストラに参加してもらった。地元の人が入ると途端に映像が創作物ではなくなり、リアリティーが増す。照明助手として映像業界のキャリアをスタートした佐藤監督は、美しい映像を撮ることでも定評がある。全てのカットが絵はがきのように美しく撮影されているこの作品で、地元の人たちに沼津の魅力を再発見してもらえたら」と説明した。
佐藤監督は「セルビアの首都ベオグラードで開催される映画祭「日本セルビア映画祭」で海外初上映されることも決まり、ヨーロッパの映画祭にもノミネートされている。この作品が海外でも評価されるのは、全世界共通の家族のストーリーをテーマにしているからだと思う。来年2月から、渋谷を皮切りに順次全国公開されるので、沼津から東京に移り住んでいる人にも見てほしい」とも。