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沼津の元地域おこし協力隊が火災した駄菓子店の再建へ 地域と仲間の支えで決意

全焼してしまった店舗近くで再建を誓う石津さん

全焼してしまった店舗近くで再建を誓う石津さん

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 沼津市の元地域おこし協力隊の石津太雅さんが現在、火事で焼失した店舗「Barとらちゃん」の再建に取り組んでいる。

こどもたちで賑わう火災前の同店(2020年撮影・石津さん提供)

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 焼津市出身の石津さんは、高校を卒業し海外で語学留学を行った後、日本一周に挑戦。日本一周中に知り合った仲間たちでバンド活動を行い、オリコンチャート最高位60位を記録。その後は会社員などを経て、2018(平成30)年4月に沼津市地域おこし協力隊に就任し、内浦地区で主にアニメツーリズムを担当した。

 協力隊時代は地元児童との交流を重視し、子どもイベントの手伝い、子どものワークショップの運営サポートなどに携わった。地域の子どもたちから「太雅さん」をもじって「とらちゃん」の愛称で呼ばれるほどの人気者に。現在は放課後児童支援員の資格を取得し、店の営業に加え長井崎小中一貫校と清水町で学童保育の教諭を務めている。

 2019年9月には地域コミュニケーションの場として、空き家を活用して「Barとらちゃん」(沼津市内浦重寺)をオープン。石津さんは「バンド時代、バーテンダー経験があり、いつか田舎にカクテルが飲めるバーがあるといいなと思っていた。バーだけでなく、子どもたちとのコミュニケーションの場として週末の日中には駄菓子屋として営業していた」と話す。

 しかし、11月11日2時ごろ、内浦重寺で火災が起き7棟が全焼、1棟が半焼し、同店も全焼した。近くの漁港に係留中の漁船2隻や、周辺の山林の一部にも延焼し約4時間後に鎮火した。幸いけが人がいなかったものの、石津さんの店舗と家財は全て燃えてしまった。

 石津さんは地域の支援や声援を受け、店の再建を決意。石津さんの元には店舗で焼けて無くなってしまったゲーム機とソフトの寄付など支援が届いた。「最初は落ち込んでいたが、多くの声に支えられ、ここで再建する決意をした。よそで店舗を構えることも可能だが、それでは今まで通ってくれた子どもたちを裏切ることになる。今回の再挑戦で頑張っている姿も子どもたちの記憶に残ってくれれば」と話す。

 12月6日にはクラウドファンディングをスタートした。目標額は300万円で、開始4日で約100人から約130万の支援が集まった。石津さんは「常連さんや親戚、昔からの友達、バンド仲間などが支援してくれている。10年以上会っていない人からも連絡をもらった。リターンは心を込めた手紙とステッカー、オリジナルTシャツなどを用意した。感謝の気持ちを届けたい」と意気込む。

 店舗の再建にはおよそ800万円が必要と試算。今回の300万円は家屋を建てる最低限の金額。石津さんは「支援を頂ければ建物を建て、洗い場、シンクなど最低限の設備を作りたい。一度行ってみたいなと思ってくれていた人に支援してもらえたら」と呼び掛ける。

 クラウドファンディングは1月14日まで。

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