伊豆箱根鉄道駿豆線大仁駅近くにある「ふかせ菓子店」(伊豆の国市大仁)で7月2日、かき氷の営業を開始した。
同店は1932(昭和7)年創業の老舗菓子製造店。洋和菓子の販売スペースの横には喫茶スペースがあり、創業時から喫茶営業を行っている。
3代目店主の深瀬雅子さんは「開店当時には店の近くに映画館があり、夜遅くまで大人も子どももいて店がにぎわっていた。その時は今のメニューだけでなく、おでんなども販売していた」と話す。
同店は夏季になると和洋菓子販売を中心とした喫茶店からかき氷専門店になる。夏の時期にはかき氷中心となるためケーキ類の製造ペースを落とし、かき氷販売に集中するという。
かき氷の種類は64種類あり、定番の「いちご」や「レモン」のほか、和菓子店ならではの強みを生かした「甘露」や、1番人気という「黒蜜」を用意する。
持ち帰り用に購入した市内在住男性は「引っ越してから毎シーズンここのかき氷を週の半分以上食べる。昭和レトロの雰囲気と柔らかい口当たりが何度も通いたくなる」と話す。夏休み時期になると1時間待ち以上の行列になることもあるという。
かき氷は器にこぼれんばかりのボリュームで、中心価格帯は200円とリーズナブル。雅子さんは理由について「子どもたちが初めて喫茶店を使ってもらえる『喫茶店デビュー』の場を維持していきたいと考えている。200円程度であれば、子どもたちが友達同士で来てくれる。その環境を続けるために、低価格を維持している」と話す。
30年以上前に同地に嫁いできた雅子さん。「妊婦のときにやってきたお母さんが、小さい子どもを連れてきて来る姿を見たと思ったら、今度は子どもたちが友達を連れてやってくる姿も。中には親子3代で来る姿もあり、それが継続していく理由で、この店を運営する楽しみでもある」と笑顔を見せる。
同店にはエアコンがあるが、「かき氷をおいしくたべてもらうため」(雅子さん)との理由で、シーズン中に一度か二度しか通電しないという。通電するのは「夏休み中に来店客が混雑するとき。めったなことではエアコンはつけない」と笑う。
この日友人と来ていた、伊豆総合高校1年の齋藤葵さんは「自分も小さい頃から母親と一緒に来ていて、毎シーズン来ている」と話す。
今後について、雅子さんは「今は来店客の要望に応え、種類も増えてにぎやかになっている。新しいなにかを求めるよりも、今いる来店客に満足する商品を提供しつづけていきたい」と話す。
営業時間は12時~17時。かき氷販売は9月上旬まで。