沼津の民宿「七六丸」(沼津市戸田)が7月1日から、期間限定企画「昭和を感じる宿泊プラン」の提供を始める。
元女将の長島桂子さん(左)と義理の娘でセラピストの長島尚子さん = 沼津・戸田の民宿「七六丸」 12年前閉館した昭和の宿、期間限定で再開
同施設は1967(昭和42)年ごろに建てられ、約50年間にわたり地域の民宿として営業してきた。最盛期には戸田地区に約300軒ほどの民宿が並び、多くの観光客でにぎわったという。朝食のアジの干物や夕食の舟盛りなど、港町ならではのもてなしで親しまれてきたが、12年前に営業を終了した。
現在建物を管理するのは84歳の元女将(おかみ)の長島桂子さん。戸田で生まれ育ち、3年前に夫の善一さんが亡くなった後も一人で建物を守り続けてきた。義理の娘でセラピストの長島尚子さんが「こんなに広い建物が使われないままなのはもったいない。料理の提供は難しくても、素泊まりなら再び人を迎えられるのでは」と思ったという。
長島さんは現在、ゲストハウス「ととのうお宿760」としての再生を目指し、クラウドファンディングの準備を進めている。水回りや客室の改修を予定しているが、その前に「昭和の民宿の記憶を残したい」との思いから、改修前の建物を期間限定で一般開放する同プランを提供する。
宿泊料金は1人3,500円(道の駅「くるら戸田」の温泉券付き)。客室は全室和室で、畳に布団を敷く昔ながらのスタイル。2部屋を用意し、12畳の部屋は最大6人、8畳の部屋は最大4人まで宿泊できる。食事やアメニティーの提供はなく、予約は公式インスタグラムのダイレクトメッセージで受け付ける。
長島さんは「戸田は海水浴シーズンだけでなく、一年を通して海や夕日、星空など豊かな自然が楽しめる地域。長島さんは「戸田は都会から近い秘境。海を眺めながら心を整え、自分自身の中心に戻れる場所にしたい。改修前の今しか見られない七六丸の姿を、多くの人に覚えていてもらえたら」と話す。
今後はゲストハウスとしての改修に加え、地域の高齢者が集う総菜キッチンや、海を望む屋上サウナなども構想しているという。
長島さんは「これは単なる宿泊施設の再生ではなく、人と人、人と地域をつなぐ挑戦。民宿七六丸からゲストハウス760へと生まれ変わる過程を一緒に見守ってもらえたら」と呼びかける。
9月末まで。