ワークショップ「沼津の宝を知る体験~むかしからそこにあるもの~」の第1弾「小野銅工店スプーンづくり」が1月25日、井草呉服店(沼津市大手町)で行われた。
沼津市の「まちなか賑(にぎ)わい補助金」による助成事業の一つ。ワークショップを体験することで、市内の産業を深く認知してもらうことを目的としている。
主催する「子育て応援サークルいちご」代表の藤井さやかさんは「沼津で育ち暮らしている中で、沼津についてまだ知らないことが多いと思い調べたところ、歴史あるお店がたくさんあることに気付いた。親が知らないと子どもにも伝えられないと、ワークショップを開催することにした」と話す。
初回の講師は小野銅工店の小野裕康さん(70)によるワークショップ。小野さんは同店3代目で1974(昭和49)年から屋根葺(ぶ)き工として家業を手伝い始めた。小野さんは「60歳を過ぎて屋根に上るのは危険だと思い、地に足を着けた仕事をしたいと、図書館の本などを参考に独学で銅細工の勉強を始めた」と話す。10年ほど前からイベントなどで銅製品の出店やワークショップを行っている。
市内外から6人が参加。参加者は銅と真ちゅうの材料を選び、スプーンやフォーク作りに挑戦した。小野さんの指導の下、銅や真ちゅうをかなづちでたたいて成型し、最後に名前の刻印を入れ磨いて完成させた。
清水町から参加した長倉知美さんは「毎朝飲むコーヒーをかき回すための小さめのスプーンを作った。忙しい日々の中でほっとできる時間にお気に入りの物を使うことで生活が豊かになると思う」と笑顔を見せた。
ワークショップは8回の予定で、今後は「お菓子処(どころ)ヤマモト」の練り切り作り、「かねはち」のオリジナルオイルサバディン作り、「大松農園」の西浦みかんの食べ比べ体験を予定している。藤井さんは「沼津の魅力的な生産者や作り手との関係を築いて、いろんな人たちとの輪を広げていきたい。大人がまずは知って、その魅力を子どもたちに伝えていけたら」と意気込む。