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沼津に「みんなのさんかく図書館」 本棚を通じ地域交流

入居者や利用客でにぎわう「さんかく」の様子

入居者や利用客でにぎわう「さんかく」の様子

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 「みんなの図書館さんかく沼津」が4月1日、沼津市にあるまちづくりプラットホーム施設「ぬましんCOMPASS(コンパス)」(沼津市高島町)内に開設され人気を集めている。

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 2019(平成31)年まで沼津信用金庫 駅北支店として営業していたビルを活用した同施設。1階は商談・相談スペースと、公募で入居したIT企業「アーティスティックス」の事務所で、2階はシェアオフィス「TENTO(テント)」としてスタートアップ企業が入居、3階にはワークショップスタジオと沼津高専のサテライト拠点として機能している。

 同施設は2020年7月にオープンしてから話題を集め、今年3月30日には内閣府の2020年度調査で金融機関による地方創生に資する特徴的な取り組み事例として地域創生大臣賞を受賞。インキュベーションマネージャーが中心となってコミュニケーションを活性化させ、同施設を使ったトークイベントも開催されている。

 4月からは、1階の商談・相談スペースを改装し、私設図書館「みんなの図書館さんかく沼津」がオープンした。施設内の壁面には1箱月2,000円で貸し出す本棚を設ける。本棚オーナーは自ら読んだ本を棚の中に入れ陳列する。オーナーは月に一度の「店番」をする権利を持ち、来場者に対応する。借りる側は貸し出しカードに必要事項を書き込んで本を借りる。利用無料で貸出期間は1カ月、一度に5冊まで借りることができる。

 同図書館を手掛けるのは「トリナス」(静岡県焼津市)の土肥潤也さん。土肥さんは焼津市に「みんなの図書館さんかく」を2020年3月にオープンし、1箱本棚オーナー制度を始めた。現在は県内外から視察や問い合わせも多く、同様の図書館は沼津を含めて5カ所の運営に携わっている。

 土肥さんは「まちづくりには日常性と非日常性があり、非日常であるマルシェや講座は企画し続けていくと疲れることが多い。自身は日常性のまちづくりが大事だと思い、図書館は日常性寄りの事業だ」と話す。

 およそ60ある本棚は2月中旬の募集開始から2週間ほどで全て埋まり、現在はキャンセル待ちとなっている。現在貸し出し可能書籍は4月28日時点で1362冊あり、うち107冊はすでに貸し出されている。

 本棚のオーナーである沼津市在住の山口誠寛さんは「最初は貸し出す側がお金を払うという意味が分からなかったが、オーナーになって本を並べでみると、自身の並べる本を選んでいる時間や、ほかのオーナーが並べる本を見る時間がとても楽しい。店番をすることでいろんな人に出会うこの場所がとても刺激になる」と話す。

 2階のオフィススペースに入居する40代の男性は「1階の本棚を見て、毎日多くの来客がある。自身に関係のない来客でも人の交流があるのは、にぎやかでとても楽しい雰囲気に包まれている。今までのオフィスは静かで殺風景だったが、ここではにぎやかな日常があって楽しい」と話す。

 土肥さんは「今後もイベントなどを企画するのでなく、そこにあり続けられる場所になっていきたい。まちの欠かせない居場所になっていければ」とも。

 営業時間は、平日=10時~19時。奇数週土曜・日曜=10時~17時。偶数週土曜・日曜・祝日定休。

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