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沼津で天然ヒジキの収穫 西浦地域に続く春の風物詩

鉄釜でゆでるヒジキ

鉄釜でゆでるヒジキ

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 天然ヒジキの収穫が4月26日、沼津市西浦江梨で始まった。

水揚げされたヒジキ

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 収穫は大潮で波が穏やかな3月下旬から5月上旬に行われていて、同地域では春の風物詩として知られている。

 西浦地域では江梨のほか久料、平沢、足保でヒジキの収穫が行われている。その地域のルールがあり、磯当番と呼ばれる担当者がヒジキの生育状況をチェックし、風や波の状況などから解禁日を決める。江梨では解禁日の収穫は地先漁業権を持つ収穫希望者全員で行う。この日から4月30日まで収穫が行われる。

 今年は13軒の地元住民が参加した。参加者たちは、9時30分に江梨港に集合し、大小1隻ずつの船で出港。岩場に近づくため、大船から小船に乗り換え、女性たちが岩場に降りて手作業で収穫を行う。

 14時過ぎに港に戻った漁船には、約1500キロのヒジキが採取された。採れたヒジキは参加者で均等に分配し、それぞれの家に持ち帰る風習となっていて、自宅用や知人、親戚などへの贈答用に使われることが多いという。

 江梨地区で漁師を営んでいる小林大介さんの自宅ではおよそ100キロのヒジキを、まきをくべた鉄釜で煮た。収穫したばかりの茶色いヒジキは、湯に入れた瞬間鮮やかな緑色に変化し、約2時間ゆでると再び茶色を経て一般に出回る黒色へと変化する。火を止めた後はそのまま一晩湯の中に浸し予熱で蒸す。翌日水洗いして天日干しにする。

 約50年参加している70代の女性は「昔は50人ほどが参加したが、行く人がだんだん少なくなっている。今は船で行くことができるが、以前は『しょいこ』で道路まで何往復もしていた。釜を持っている家に集まり仲間でやる作業が楽しい」と話す。

 小林さんは「江梨のヒジキは歯応えがありシャキシャキしていておいしい。祖父母の時代から江梨に今でも残る伝統の風習。これからも続けていきたい」と話す。

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