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沼津の飲食店で「西浦みかんごはん」 地域の資産生かし来客のおもてなし

「西浦みかんごはん」と沼津ブランド認定証を持つ渡辺頼子さん

「西浦みかんごはん」と沼津ブランド認定証を持つ渡辺頼子さん

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 「駿陽荘 やま弥」(沼津市西浦)で10月16日、西浦産の極早生(ごくわせ)ミカンを使った「西浦みかんごはん」の平日の提供が始まった。

白米を「西浦みかんごはん」に変更した鯛(たい)丼

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 同店はみかんミカン農家をしていた渡邊稔さんと妻のあけみさんが1973(昭和48)年、ラーメン店「やまや」として開業。1978(昭和53)年から民宿と食事処(どころ)を始め、駿河湾と富士山を目前に望むロケーションと、当時まだ珍しかった刺し身の生き造りと 酢飯と具材を客自身がのりで巻く「てまきずし」が人気を集めた。

 稔さんの長女で同店若おかみの頼子さんは「『てまきずし』を楽しみに訪れてくれる人が多かった。1988(昭和63)年ごろ、大手のお酢メーカーから『CMで手巻きずしを使っていいか』と電話をもらった。商標登録をしていなかったので、どうぞと伝えた。そのCMのおかげで『手巻きずし』というワードが日本全国に広がった」と振り返る。

 2016(平成28)年に提供を始めた「西浦みかんごはん」は、「西浦みかん」の果汁と皮、戸田塩を使って炊いたご飯で豊かなミカンの香りが特徴。秋の極早生ミカンから春先の「寿太郎みかん」のシーズンまでの約半年間、同店で提供している。2021年9月に「沼津ブランド」に認定された。

 頼子さんは「ミカンを使った商品を作りたいと思っていたところ、井田エリアの菜の花祭りでミカンを使った炊き込みご飯が提供されていたと知った。調べていく中で、愛媛県ではみかんご飯が学校給食などにも出ていることが分かり、『西浦みかんごはん』の試作を重ねた。『寿太郎みかん』で試作したところ濃い甘みが出てしまったため、ミカンの果汁の配分を少なくし、戸田塩とミカンの皮を入れて改良した」と話す。

 2016年と2017(平成29)年は「寿太郎みかん」を使ったが、1カ月半ほどしか提供できないため、2018(平成30)年からは極早生みかんが出荷される9月に始め、寿太郎みかんのシーズンが終わる3月ごろまでの約半年間提供できるようにした。

 昨年までは土日のみの提供だったが、今年から月曜も提供する。

 頼子さんは「9月の極早生はさっぱり味で、今は『ゆら早生みかん』を使っている。シーズンごとミカンの特性に合わせ、配合を変えている。鯛(たい)丼と合わせるととても相性がいい。最初はチャレンジ的に注文する人も多いが、ミカンの香りがいいと好評。この意外性を喜んで、帰りに声を掛けてくれる方も多い。翌日は色が変色してしまうため、当日炊いたものだけを提供している。最近はこちらも『今日みかんごはんありますよ』とお声掛けするようになった」と話す。

 東京から訪れたという客は「『やま弥』のみかんごはんのために来た。数年前に初めて食べた時にすごくおいしかったので、時期になると食べに来ている」と話す。

 頼子さんは「せっかく来られたら富士山も見てほしいし、テレビアニメの風景を楽しんでほしいし、それ以外の魅力も知ってまた来たいと思って帰ってもらいたいと思って続けてきた。海越しに富士山が見られるのは西浦の財産。のんびり海を眺めゆっくりして行ってほしい」と話す。「沼津ブランドの認定も頂いたので、農家さんに恩返しができるように、感謝の思いが伝わるような商売をこれからもしていきたい」とも。

 「西浦みかんごはん」は土曜・日曜・月曜提供。価格は300円。定食に120円増しで、白米から変更することもできる。

 営業時間は、11時30分~14時30分、16時30分~19時。水曜、第1・3・5火曜定休。

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