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三島「Bar奈良橋」をめいが継承 大正時代の蔵で「お茶カフェ」開店

「奈良橋ミルクティー」

「奈良橋ミルクティー」

 茶カフェ「奈良橋」(三島市中田町)が10月1日にオープンした。

店主の岩田世衣来さん = 三島「Bar奈良橋」をめいが継承 大正時代の蔵で「お茶カフェ」開店

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 店を始めるのは、三島市出身の岩田世衣来(せいら)さん。かつて叔父の小林健吾さんが営み、地域で親しまれた「Bar奈良橋」の場所と名前を受け継ぎ、新たな形で店を開く。

 メニューは、三島市内の茶園「勝又苑」(川原ケ谷)の茶葉を使った「奈良橋ミルクティー」(750円)や「抹茶ラテ」「ほうじ茶ラテ」(以上700円)、「三島和紅茶」「三島ほうじ茶」「三島煎茶」(以上650円)のほか、中国茶やジャスミン茶、玄米茶、キンモクセイ紅茶、白茶、岩茶、蜜蘭香などもそろえる。

 甘味には「さつま芋と和三盆のモンブラン」(700円)や、「アイスのせドーナツ」(650円)、「白玉あずき最中」(550円)などをラインアップ。あんは三嶋大社近くの「遠藤製餡所」(大宮町)から仕入れるなど、できるだけ地元の素材を取り入れる。

 店舗となる蔵は1922(大正11)年に建てられた伊豆石造り。小林さんが1999(平成11)年に「Bar奈良橋」を開業し、オーセンティックバーとして営業していた。小林さんはバーテンダーとして多くの常連客や弟子に慕われていたが、2001(平成13)年、32歳で急逝。その後は弟子や後輩たちが店を引き継いで営業を続け、2019年に閉店した。

 岩田さんは1996(平成8)年生まれ。小林さんが亡くなった時は4歳だった。「どこに行くにも一緒に連れて行ってくれて、すごくかわいがってもらった」と振り返る。大学4年生の頃、「Bar奈良橋」が閉店すると聞き、祖母が「店を譲るとしたら孫に譲る」と考えていたという。岩田さんは就職活動を終え、旅行会社から内定を得ていたが、内定を辞退。東京のお茶専門店を運営する会社に就職し、店長や新店舗の立ち上げなどにも携わった。セールスプロモーションツールの企画営業も経験。「いつか自分が蔵で店をやれるように」という思いを胸に、経験を積んだ。

 「もともと接客が好きで、人と関わることが好きだった。お茶の店で働くことも楽しかった」と岩田さん。勤務先は台湾発のブランドで、東京・丸の内の商業施設にも店舗を構えていたが、コロナ禍の影響で日本から撤退。テレワークが続き、客やスタッフと直接関わる機会が減ったことから、「三島でお茶の店をやりたい」という思いが強くなったという。

 転機となったのは約2年前、祖母が亡くなったこと。「世衣来ちゃん、そろそろどう?」と周囲から声をかけられ、店を始めることを具体的に考えるようになった。「30歳を迎える節目に、大好きな三島に恩返しがしたい」と、今年のゴールデンウイークに東京から三島へ戻り、開業準備を進めてきた。

 「奈良橋」の名は受け継ぐものの、岩田さん自身はバーテンダーとしての修業経験がないため、「Bar奈良橋」とは名乗らない。「バーをそのまま復活させるのではなく、自分がこれまで経験してきた『茶』を軸に、新しい奈良橋を作りたい」と話す。

 店では、季節やその時々の出合いに合わせ、さまざまな茶を紹介していく予定。「訪れる度に、新しい一杯との出合いを楽しんでもらえたら」と岩田さん。

 11月1日の「紅茶の日」からはテイクアウト販売を始める。さらに同日から夜営業もスタート。シェーカーを使った茶のカクテルなど、茶を使ったアルコールドリンクを提供する予定。

 夜営業に合わせ、「奈良橋らしい」茶と一緒に楽しめる甘味や軽食も準備している。今後はお茶漬けなどのメニューも検討しているという。店で提供する茶葉を自宅でも楽しんでもらえるよう、茶葉の販売やオリジナルグッズの企画も進めている。

 「茶にもいろいろな種類があり、嗜好(しこう)品として楽しんでもらえる。家でも月1回でも、お茶を楽しむ時間を作ってもらえたら」と岩田さん。店で茶を飲むだけでなく、茶葉を持ち帰り、自宅で楽しむきっかけも作っていきたいという。

 10月1日は「日本茶の日」。岩田さんは「お茶屋さんを始めるなら、この日にオープンしたい」と開店日を決めた。11月1日の「紅茶の日」に合わせてテイクアウトと夜営業を始める。

 かつて「Bar奈良橋」は、三島でバーを訪ねる際に名前が挙がる店の一つだった。伊豆石の蔵を生かした重厚な空間には営業当時から多くの客が訪れ、ここで修業したバーテンダーが独立して店を構えるなど、街のバー文化にもつながっていった。

 岩田さんは「三島は人がいいし、水もおいしい。東京の友人を連れてくると『いい街だね』と言ってくれる。三島が伊豆への通過点になってしまうのではなく、ここに来る理由の一つになれたら。奈良橋を、地元の人にも、三島を訪れた人にも、フラッと立ち寄ってもらえるサードプレイスのような場所にしたい。かつての奈良橋を知る人にも足を運んでもらい、当時の思い出などを聞きながら、新しい奈良橋の物語を作っていけたら」とも。

 営業時間は11時~18時。火曜・水曜定休。