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沼津・戸田で音楽合宿イベント「音まつり」-現代版「瞽女宿」復活へ

合宿所で「リラックスできる雰囲気がいい」と話す伊澤さん(左)と石原さん

合宿所で「リラックスできる雰囲気がいい」と話す伊澤さん(左)と石原さん

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 沼津市立戸田中学校(沼津市戸田)で8月9日、「音まつり」が開催される。開催は今回が初で、スチールパンバンド「WAIWAI STEEL BAND」を中心にスチールパンライブを繰り広げる。

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 バンドはスチールパン奏者である伊澤陽一さんを中心に編成されるバンドで、バンドメンバーは「活動によって変動するが、現在の加入メンバーは全員で49人いる」と笑う。スチールパンだけでなく、パーカッションやドラム・ギターなどのビッグバンド編成でライブを行う。

イベント開催のきっかけとなったのは8月23日・24日に行われる同バンドの単独ライブ「ゴールでアワー」の練習場所。同バンドは大所帯のため、練習をする合宿場所に制限があった。「湖畔のロッジなどを複数予約して合宿をするが、遅くまで音が鳴らせないなど制限があり困っていた」と話す。

 その要望に応えたのが、戸田観光協会理事でクリーニング業を営む石原秀一さん。石原さんは「震災前までは海水浴客と温泉観光でにぎわう町だったが、近年では店じまいする旅館も少なくない。私も旅館のリネン事業を行っているため、戸田のにぎわいは急務と考えていた」と話す。

 石原さんは、店舗2階の事務所スペースを音楽スタジオに改修。防音設備の整ったスタジオでは夜間の音出しも可能となった。スタジオの横には8畳ほどの和室を2部屋用意。台所もあるスタジオは8人程度の宿泊も可能。宿泊や食事に関する民間施設の紹介も行う。今回の合宿に参加するバンドメンバーたちも地区内の宿泊施設に手配を行った。

 戸田地域には、江戸時代から盲目の女性が三味線や歌を披露しながら巡業をする瞽女(ごぜ)文化があり、同地域には山中で遭難した瞽女を弔った「瞽女観音」がある。これをきっかけに同地域にも瞽女が集まり、瞽女宿と呼ばれる旅館で、地域の住民たちとの交流があった。現在も瞽女の文化を守る「ごぜ芸能まつり」が行われている。

 今回の合宿ではイベントの開催だけでなく、同地域の旅館施設へのライブや戸田中学校の生徒たちとの体験教室など発表の場も用意。「合宿して音楽の腕を上げるだけでなく、多くの人に聞いてもらいつつ地区の人たちと交流してほしい。その交流を通して地域が活性化してほしい。現代の瞽女文化の復活を狙い、今後も多くの人に合宿の観光として来てほしい」(石原さん)とも。

 合宿について、伊澤さんは「町全体が受け入れてくれることはとてもうれしい。これから中学生や地域の人たちに会って音楽の楽しみを知ってもらえれば。どんな人に会って、どんな音楽になるのかとてもワクワクする」と感想を話す。ライブ本番については、「心地よいスチールパンの音色を感じてもらえれば。多くの人に音色を体感してほしい」と来場を呼び掛ける。

 開催時間は18時30分から。

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