全国キッチンカー事業振興協会(清水町徳倉)が7月4日、土石流被害があった熱海市伊豆山地区で炊き出しを行った。
同協会は2018(平成30)年、地域防災活動や障がい者の支援活動などのサポートなど、キッチンカーを活用した社会貢献と地位向上などを目的に設立した。
同協会代表の鈴木貴さんは「キッチンカーは、電気やガスが止まったとしても発電機や調理器具で炊き出しを行うことができ、防災の要になりうる。もしもの時に地域防災の一翼を担うことができればという考えもあって、同協会を設立した」と話す。
鈴木さんは、土砂災害があった7月3日に地図などを見て地盤の状況などをあらかじめ確認し、現地での動きや配置などを熟考するとともに、会員同士で連絡を取り、炊き出しの準備を進めた。会員の江本愛里さんの両親が経営している「江本新聞店」(熱海市光海町)の敷地には、拠点として使える活動ベースも設置。メンバーを募集し、翌日の4日にはキッチンカー3台と自身のハイエースで現地に向かい、炊き出し支援を実施した。
当日は、「江本新聞店」から被災者が避難している「熱海ニューフジヤホテル」へ出来立てのたこ焼きやカレー、唐揚げ弁当、スープなど約300食を運び、被災者へ無料で提供した。
鈴木さんは「阪神・淡路大震災や東日本大震災でも被災地支援の経験がある。熱海の現地に入る前に、二次災害が起きる場所でないかなど、土木現場での経験を生かして入念にチェックした。今までの経験と知見をフルに活用した」と話す。
現在は、ボランティアセンターの開設まで一般のボランティアの受付や救援物資の受け入れが一旦ストップしていることから、「すぐにでも、困っている人を助けたい、支援したいという気持ちはよく分かる。ただ災害支援の経験者や地盤や土地勘がある人でも、危険が伴う場所での救援は2次被害を招く可能性がある。確かな情報の下で活動してほしい」と呼び掛ける。
鈴木さんは「雨が降り、湿度が高く、霧も出ていて気温が低く、被災した人は温かい食べ物を必要としていると思った。反省点もあるが、会員同士が連携を取り、持ち場の役割を全うできた。今後は現地と連絡を取り合い、トラックやケータリングカーの移動・駐車などでの合意が得られれば、安全を確保しながら他の避難所などにも温かい食べ物を届けに行けたら」と話す。