暮らす・働く 学ぶ・知る

沼津の高校生がフェンシングの剣をアップサイクル 市長表敬訪問

市長表敬訪問を行った加藤学園暁秀高校3年の佐野直太朗さん

市長表敬訪問を行った加藤学園暁秀高校3年の佐野直太朗さん

 加藤学園暁秀高校3年の佐野直太朗さんが、フェンシングで使えなくなった剣をアップサイクルする取り組みで「静岡県SDGsスクールアワード2025 高校生の部 審査員特別賞」と「全国高校生マイプロジェクトアワード2025 地域サミット特別賞」を受賞した。5月21日に沼津市役所を訪れ、頼重秀一市長を表敬訪問した。

(右から)頼重沼津市長、尾藤副議長、佐野さん、影山鉄工所の坪内さん、奥村教育長= 沼津の高校生がフェンシングの剣をアップサイクル 市長表敬訪問

[広告]

 佐野さんは小学1年生の時にオリンピックメダリストの三宅諒選手に憧れてフェンシングを始めた競技者。中学時代のボーイスカウトでのごみ拾いをきっかけに、海洋プラスチックごみ問題に関心を持ち、微細で回収が困難なマイクロプラスチックの研究を続けてきた。

 高校進学後、スポーツごみの課題を知った佐野さんは、自身の競技であるフェンシングに着目。ユニホームや防具に比べ、練習用の剣は約2カ月に1回という高い頻度で折れてしまう。折れた剣は資源ごみに出せず、埋め立てごみとして処分される。佐野さんは「お金もかかるし、環境にも良くない。愛着のある剣をそのまま捨てるのはもったいない。スポーツがごみを増やしている現状をどうにかしたい」と考え、剣をより高い付加価値へと循環させるアップサイクルに挑戦した。

 剣の素材を調べる中で、加工が難しい合金製の高価な剣とは異なり、練習用の剣が溶接や切断が可能な「鉄(単一素材)」であることに着目。佐野さんは地元の「影山鉄工所」(沼津市西間門)が運営する溶接体験工房「アイアンプラネット ベースオブ沼津」へ自ら連絡し協力を依頼した。学校帰りに何度も工房へ通い、溶接を体験しながら、折れた剣の面影を残したアイアン製の「用具掛け」を完成させた。

 佐野さんは「削りすぎるとフェンシングの剣だと分からなくなってしまう。競技者にとって思い入れのあるものだからこそ、そのデザインや質感を残したかった」と振り返る。協力した影山鉄工所の坪内寛幸さんは「社内では合金の溶接は難しいのではという話も出たが、練習用が鉄素材だったため手伝えると思った。佐野さんの飽くなき探究心と行動力で、とてもすてきなものができた」と話す。

 3月にはサーブル団体で全国優勝を果たし、現在はフルーレ個人でのインターハイ出場・優勝を目指している佐野さん。将来は慶応義塾大学環境情報学部などを視野に、海洋問題やスポーツごみに特化した研究員を目指している。「フェンシングだけでなく、各地域に特化したさまざまなスポーツのごみ問題にも広げ、全国へ活動を広げる仕組みを作りたい。日本だけでなく世界へ発信していきたい」と意気込む。

 報告を受けた頼重市長は「非常に分かりやすく説得力がある取り組み。スポーツと環境問題を結び付けた視点が素晴らしい」と称賛した。同席した沼津市議会の尾藤正弘副議長は「影山鉄工所へ自ら足を運んだ行動力が素晴らしい。大学を出たらぜひ沼津に戻って働いてほしい」と期待を寄せる。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース