函南の住職が「人生」テーマに出版-地元でトークショーも

柿沼さんと、猫の「副住職」

柿沼さんと、猫の「副住職」

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 函南町丹那にある曹洞(そうとう)宗長光寺(函南町畑)の住職である柿沼忍昭さんが1月下旬、書籍「人生に決まりごとなんてない」を出版した。

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 曹洞宗長光寺は慶長年間(1956年~1615年)に建立されたもので、400年以上の歴史を持つ寺。現在は住職である柿沼忍昭さんが同寺の管理・維持を行いながら、地域住民たちとの運営を行っている。

 著作は柿沼さんが、仏教や禅の観点から19のテーマに回答していくもの。柿沼さん独特の考え方やアドバイスが掲載され、「タイトルの通り、決まり事と思っているルールを取り払い、自分と向き合うきっかけが読むうちに分かってくれれば」と話す。

 柿沼さんは1956(昭和31)年、神奈川県生まれ。サラリーマンの父を持つ一般の家庭に育ち、高校時代はインターハイ出場を狙うテニス選手として活躍したが肩の故障もあり、選手生活を断念。その後、父の勧めもあり駒沢大学仏教学部へ進学した。「探究心が強いほうで、大学では仏教の教えや仏教につてのめり込んでいった」(柿沼さん)。

 大学在学中にはインドやカウンターカルチャー盛んなアメリカの西海岸にも修行に出掛け、禅の考えを取り込んだ文化にも触れた。「通常の和尚では体験できないこともあったが、アメリカでは『禅センター』という施設に影響を受けた。禅の考え方に従い、そこに人が集まり、生きていく。かつて日本の寺にあった姿を見た」と振り返る。

 帰国後も海外を拠点に精進料理の講師や禅の指導などを行い、北海道の寺で住職をしながら35歳から絵画やダンス、DJなどの活動も行うようになった。活動については「35歳までは勉強をする期間だった。もともと音楽やデザインには関心があり、学んだことや伝えたいことを、形を変えて表現してみたくなった。自身が各所を旅していた『野良坊主』時代のアウトプットをしたかった」という。活動は現在も続いており、4年前に長光寺の住職となってからは、寺の蔵をカフェとして改築し開放。若い世代と、アートという接点での交流も盛んに行っている。

 出版を記念して三島のCREAM(三島市大宮町)で3月15日、「禅問答ライブ 和尚さんに『働く』について悩みや疑問を一問一答!」を開催。参加者の疑問や悩みについて、柿沼さんが答えていく。

 柿沼さんは「お金をたくさん稼がなくてはいけない、マイホームを持たなくてはいけないなど、『こうあるべきだ』と複雑に考えてしまう人が多い。また、考えることに責任を持ちすぎてしまうことも多い。自分が思ったことを丁寧に描いていき、年齢を重ねてボキャブラリーや経験を踏むことが大事。いきなり達成や成功をしなくてもいいのでは」とアドバイスする。

 今後について柿沼さんは「寺というコミュニケーションの場を使って、さまざまな人を応援する場所を作っていきたい。檀家(だんか)のみ出入りをする閉鎖的なイメージではなく、より多くの人に開かれた場所を作り、そこでいろんな人が活動していければ」と話す。

 イベントの開催時間は18時~22時(懇親会も含む)。料金は3,000円。

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